開発の原点

学生のころからオーディオ製品に興味があり、アンプ、CDプレイヤー、スピーカーまでいろいろなものを試してきたのですが、ある時、その当時の自分にはかなり高額な10万円以上するスピーカーを頑張って購入したことがありました。

店頭でいろいろなスピーカーを視聴し、お財布と相談しながら決めたスピーカーを家に持ち帰り、最初に聴いたときの興奮をいまでも覚えています。

しかし、数か月もたつとなぜかその音に満足できない自分がいました。
何が満足できないかというと、夜に音楽を聴くことも多かったので、少しボリュームを抑えながら聴くわけなのですが、どうしてもその音が毛布越しに聴いているようなこもりのあるサウンドに聴こえてくるのです。

たしかにボリュームをあげていくとそれなりに良い音に聴こえるのですが、近隣の迷惑を考えると大音量でそうそう流すわけにはいきません。そこで、スピーカーケーブルの変更から防振対策などで改善できないかと様々なことに挑戦したもののどうしても納得いくことはありませんでした。

そのころから、最終的に音質をおおきく左右するのはスピーカーになるだろうと考え自作スピーカーの製作をはじめたわけなのですが、その時スピーカー内部に張り巡らす吸音材の存在をしり、この加減で大きく音質が変化することに気がつきました。吸音材は必要悪とも言われており、これを使うことで音が滑らかになるわけですが、それに比例してどうしても音にくもりがかかっていきます。

いろいろ考えるなかで、そもそも、この吸音材を使わないスピーカーはつくれないものか?と発想の転換で思い立ったのが開発の原点となります。