【本当の話】コネクタ表面のめっきの種類で音質は変わる?

めっき(メッキ)伝説
先日、ネット上の記事でステレオミニプラグなどのオーディオケーブルに使用されるコネクタ(プラグ)の「めっき(メッキ)」の種類によって音質が確実に変わるというものを見ました。また、ロジウムメッキがいいわるいなどの議論も見かけます。
はたして、本当にめっきの種類によって音質が変わるのでしょうか?
その記事よると、おおよそ以下のような書き方になっていました。
「んんんんん!?」久しぶりに少しびっくりしました。たぶん金属の材料特性がそのまま音の印象として表現されているようにしか思えません。確かに金は、その他の金属より柔らかい特性があります。
めっきの抵抗特性
そこで、メッキの抵抗値について調べてみました。
・金めっき 22.14nΩ・m at20℃
・銀めっき 15.87nΩ・m at20℃
・銅めっき 16.78nΩ・m at20℃
・ニッケルメッキ 69.3nΩ・m at20℃
参考文献:三和メッキ工業株式会社(https://www.sanwa-p.co.jp/faq/detail4727.php)
n(ナノ)は、10^-9:0.000 000 001を表します。しかも、この抵抗は1mの長さあたりの抵抗値となりますので、電流値に与える影響はどのめっきでも、ほとんど誤差と言えるレベルで、これに比べれば銅線を1cmでも長くしたほうがその変化は大きいのです。
例えば、めっきがコンデンサー・コイル・抵抗などの電気回路を形成してこれが音質に影響を与えているというのであれば、まだ理屈として納得できます。
しかしメッキという導体のなかでなんらかの周波数帯を吸収したり干渉するというような現象が起こることを説明することは非常に困難なのです。また人間の耳にしか分からない領域があると唱えるひともいますが、あまりにも非科学的な考察のように思います。
音質へ与える影響は?
確かに金メッキは高級感があり、音がよさそうなイメージがあるので、少しでも製品を高く売りたいメーカーがこの事に触れたくない心理も推測できますが、結論としてめっきの種類によって音質が大きく変化することはないと経験則からも考えてよさそうです。
しかし、材料を変えて音質が変わったという人が後を立ちません。なぜコネクターをかえて音が変わったと感じるひとがいるのでしょうか?
ブログ:【音の真実】デジタルアンプよりアナログアンプのほうが音がいい?
上記ブログでも少し言及しましたが、人間の聴覚は意外とあいまいで心理的側面と、環境のセッティングの差を音の違いと誤って判断しているケースがほとんどだと思います。
ただし、めっきの表面は時間が経つと一般的には表面に酸化膜が形成され抵抗率が悪化します。このことを経年劣化といいますが、めっきの種類により経年劣化の程度に差はありますので、酸化膜を形成しない金がより安定した材料として推奨されます。
しかし、ニッケルメッキが格段に劣るという理由にはならないでしょう。年に一度でも、接点復活材等でめっき部をメンテナンスするだけで、初期状態にもどると思います。
最後に、「めっき」を「メッキ」と書くことがありますが、これは日本語なので「めっき」と書くのが正しいようです。