【本当の話】何万円もする高純度のスピーカーケーブルは音質がよい?
ダンピングファクターとケーブルの関係
太い高純度の無酸素銅スピーカーケーブルに変えると音がよくなるという話を聞きますが、はたして本当でしょうか?実は、わたしも若いころにはいろいろ試してみたのですが、、最近の見解についてお話します。
まず重要なのが、アンプがスピーカーをどの程度コントロールできるかを表すダンピングファクター(DF)です。例えば、バットの端を持つより、真ん中あたりを持ったほうがバットを容易に振りやすいように、DF値が大きいとアンプがスピーカーを楽に動かせるということを表します。
電気的にDF値は、以下の式になります。
DF = Zsp / ( Za + Zc )
アンプの内部抵抗やケーブルの抵抗が増えるとDF値は小さくなるとだけ覚えれば大丈夫です。
DF値が10を切るようになると、スピーカーを制御するのが難しくなり、しまりのない低音が出るようになります。
つまり、ケーブルはこのDFを決める要素のひとつに過ぎないということです。決して、ケーブルの品質がいいからという理由で音がよくなることはありません。
DFが音質に与える影響
昔の真空管アンプは、アンプの内部抵抗が大きいためにDF値が10を切るものが多く、抵抗値の低い高純度の無酸素銅ケーブルに変えると音質が良くなったと感じることもあったと思います。しかし、デジタルアンプが普及した今は、このDF値は少なくとも数十から100以上はあるので、ケーブルの抵抗値が多少高くてもDF値が10を切ることはなくケーブルの材質や純度による影響は少なくなったと言えるのです。
ただし、アンプのDF値が数十程度の場合にケーブルの引き回しが長かったり、ケーブルの端末処理が適当で接触抵抗が増大するとDF値が10を切る可能性はあるので、ご注意ください。特にむき出しの銅ケーブルは使い続けると表面が酸化するので接触抵抗が増大しやすいです。
また、このDF値が小さくなると低域の音圧が盛り上がる特性もあるので、聴感的には音がマイルドで豊になったように聴こえると感じるひとも多く、DF値が低いことが必ず悪いとも言えないことが色々なケーブルやアンプ神話の生まれる理由ではないでしょうか。
結局ケーブルはそんな高くなくていいだ!でも何を選択すればいいの?という人のために、ケーブル選びの最低限のポイントを、別の機会にでも紹介したいと思います。